おいしいイギリス料理3選(外食編)

The city of Scarborough
イギリス生活

「イギリス料理はまずい」はウソ?

私はこれまでイギリスに語学研修(カンタベリーに2週間)、1人旅(ロンドン、コッツウォルズ、ドーバーを回る5日間)と訪れ、しまいには移住(ノッティンガムで働きながら1年間)するほど、イギリスには何かとご縁があります(笑)

最初の興味は学生時代で、お恥ずかしながら「街がお洒落」「ヨーロッパだから」「英語がカッコイイ」という理由からでした。これまでのイギリス生活の中で、少しでもイギリス文化を知ろうという思いからいくつもの料理を現地で試してきました。

イギリスといえばフィッシュ&チップスなのですが、他にもたくさんの伝統料理があり、しかもなかなか美味しい。

日本に帰国した今でも、思い出せば「母の味」のような安定感さえ感じられます。そこはやはり歴史が長い国。地域によって伝統的な料理はいくつも確立しています。

今回は、何度もイギリスに足を運んだ管理栄養士が選ぶ美味しいイギリス料理(外食編)をお店の情報や旅先の小話とともにご紹介します。

記事の後半で、惜しくも選ばれず、それでも個性豊かな伝統料理を紹介しているので、ぜひ最後までご一読ください。

バイブリー産トラウトのロースト

Whole Roasted Bibury Trout

アットホームな雰囲気にどこか上品さもある。

迷わずの一品目は、トラウト(ニジマス)のシンプルな料理です。

塩とニンニク、オリーブオイル、ハーブで味付けされており、素材の味が引き立てられています。何が嬉しいかといったら、揚げ物がひとつもお皿に乗っていない。イギリスではとても珍しいことです(泣)

フレッシュなファーム野菜と小ぶりなローストポテトの量がちょうどよく、最後までニジマスを美味しく味わうことができます。これぞ体が喜ぶ食事、自然の恵み溢れる一皿です。

バイブリーは、日本人にも人気な観光地であるコッツウォルズの村々のひとつです。エリアの中では南に位置しており、メインの中継地と繋がるバスは、1日数本しか走っていません。

昼間は観光客で賑わう場所ですが、夜になると宿泊客だけになるので(お宿も数件しかありません)静かでゆったりとした村の雰囲気を味わうことができます。

そんな絵本の中のような美しい村で捕れるニジマスは、それはもう格別です。トラウトファームと呼ばれる養殖所で育てられているニジマスですが、自然豊かな環境と、エリア一帯に広がる済んだ川でのびのび育つため天然同然の品質です。

私たちは、村の入り口に位置するスワンホテルから歩いて5分のところにあるバー&レストランでいただくことができました。

手前がバーカウンター、奥がレストランスペースになっておりレストランスペースの開放は夕方以降から。

村から街へ戻るバスの便は15時台で終わってしまうため、宿泊して夜も滞在する場合は、ぜひこちらのレストランを訪れてみてください。

<お店情報>
キャサリン・ウィール (The Chatherine Wheel)
<行き方>
ロンドンから約2時間50分(バスの乗り換え時間で異なる)。ロンドン・ヴィクトリア駅から高速バス(National Express)でサイレンセスター(Cirencester)まで行く。近くにあるビーチェス・カーパーク(Beeches Car Park)から855番バスでバイブリ―へ向かう。※Bibury Post Officeまたは Swan Hotelまでと運転手に伝えればOKです。

本当に小さな村のため、入り口まで行けばあとは全て徒歩で回れてしまうほど。紅葉の時期(9月下旬~11月初旬)か比較的晴れの日が多い夏(7~8月)がベストタイミング。

フィッシュ&チップス(スカボロー)

定番のフィッシュ&チップス、どこも味は同じでしょう?と思いきや、行列ができるほど美味しいと評されるお店がちゃんとあるのです。それが、パパズ・フィッシュ&チップス(PAPA’s FISH AND CHIPS)。

こちらはヨークシャー州を中心に全6店舗を展開する専門店。そのひとつが港町スカボローの中心にあります。賞を獲ったフィッシュ&チップスとしてより人気を高めています。

Fish and chips

雨風強く寒い中、海岸沿いのベンチにて(笑)

スカボローという町は、サイモン&ガーファンクル(Saimon & Garfunkel)の名曲、スカボロー・フェア(Scarborough Fair)の舞台になっています。きっとどこかで聴いたことがあるメロディーです。この曲のもとはイギリスの民謡であったことと、旅人に語りかける歌詞から、どこか哀愁漂う雰囲気が印象的です。
この曲を聴きながら電車を乗り継ぎスカボローの町を散策すれば、世界観を存分に味わえます。この曲の解釈はとても興味深いものです。
話が逸れましたが、ここのフィッシュ&チップスは、衣が比較的薄くてサクサク、身もしっとりしていて確かに他とはちょっと違います。不思議と後半も胃が重たくならずに、最後まで美味しく味わえることには驚きました。
フィッシュ&チップスといえば調理時の味付けは基本ナシ、揚げるだけ料理なので、なかなか違いを持たせることは難しそうですが、「他とは違う!美味しい。」と思わせるパパズはさすがです。

<お店情報>
パパズ・フィッシュ&チップス・スカボロー(Papa’s Fish and Chips Scarborough Seafront Takeaway)
<行き方>
ロンドンから約3時間。ロンドン・キングスクロス駅から電車で行く。ヨークで1回乗り換えてからスカボロー駅へ。駅から海方面に徒歩15分。

千葉県の銚子の沿岸に似ていると書いている方がいました。美味しい魚と美しい景色を愛でる文化は、日本もイギリスも同じですね。ただ、春気分で4月頃に行ったときはまだまだ真冬の気候だったので、行く時期は見極めが必要です。

スカウス(リバプール)

scouse

親戚のお家にご飯を食べに来たような雰囲気。

こちらのスカウス(Scouse)は、リバプールの名物料理です。スカウスはもともと、この地域の発音の訛りを表す言葉だそうです。イギリス英語も地域によって訛りがありますが、リバプール・アクセント(Liverpool accent)も象徴的な訛りのひとつといわれ、よく取り上げられています。

地元のホテルスタッフや店員さんの英語は確かに聞きなれない発音。いやいや、イギリスに馴染むにはまだまだ修行が足りないといったところでしょうか。

お料理のスカウスはというと、牛肉かラム肉と、じゃがいもや人参、玉ねぎをじっくり煮込んだ伝統的なシチューです。どこか「肉じゃが」を思い出させる優しい味わいで、レストランでも食べられますが、どちらかというと家庭料理の雰囲気があります。味付けは、牛肉ブイヨンとウスターソースを基本にし、あとはお店や家庭によってそれぞれ。

今回は旅先で訪れたマギー・メイズ(Maggie Mays)という小さなカフェ&バーでいただきました。ベテラン感たっぷり母親世代のおばちゃんが運んできてくれたのですが、それもまた雰囲気があって、「やっぱりこういうのが落ち着くのよ~」と妙に沁みたことを覚えています。

実はリバプールには当時の造船所を改造して建てられたタイタニック・ホテルを目当てに行きました。大ヒット映画のあのタイタニック号の造船会社ホワイト・スター・ライン社の本拠地がリバプール。混同しそうですが、アメリカに向けて船が出向したのは南イングランドに位置するサウスサンプトン港です。

当時の港付近には建物がそのまま手つかずで残されていたりと、古い建物を重んじるイギリスの文化のおかげで当時の雰囲気を感じ取ることができます。

もうひとつ有名なのが、ビートルズの故郷もリバプールです。ビートルズ・ストーリーというミュージアムには、彼らの全てが展示されており、世界中からファンが訪れるとされています。

一方、産業革命の18~19世紀には「イギリス第二の都市」といわれるほど貿易が盛んで、その背景には奴隷貿易という負の歴史があります。奴隷貿易についての博物館も存在し、イギリスにとっては目を瞑りたくなるような苦い事実を学ぶことができます。

またまた小話が長くなりましたが、なにかと歴史深いリバプールで生まれた名物料理スカウスは、シンプルでほっとする家庭の味でした。

<お店情報>
マギー・メイズ(Maggie Mays)
<行き方>
ロンドンから電車で約3時間。電車によってはCrewという駅で乗り換え、リバプール・ライム・ストリート駅(Liverpool Lime Street)で降りる。そこから繁華街の方向に徒歩10分。

だいたいの観光スポットは主要駅から徒歩でアクセス可能な範囲に集まっています。繁華街の通りはビートルズ関連のお店やパブも多く、ならではの様子を楽しむことができます。タイタニック・ホテルは少し離れたところに位置するため、Uberで行くことをおすすめします。

おまけ:ハギス(スコットランド)

こちらのほうが興味のある方も多いでしょうか?お待ちかね「珍味」のご紹介です!食には寛容な方である私も珍味認定した料理(決してまずいのではなくクセ強め)がこちらです。

haggis

このハギスは盛り付けがおしゃれ。

ハギス(Haggis)は、茹でた羊の内臓(心臓、肝臓、肺)を、オーツ麦やハーブ、たまねぎなど他の材料とともに細かく刻み、胃袋に詰めて蒸したスコットランド料理です。スコットランドは昔から牧羊が盛んで、旅の道中では広大な土地でのびのび過ごす羊をたくさん見つけることができます。

昔から羊肉が人々の生活にしっかり馴染んでいて、食べられるところを余すことなく食べられる料理としてハギスが生まれたのかな~などと想像してしまいます。ハギスの味は世界的にも有名で、フランスやアメリカ大統領の発言による逸話も存在するほど。調べてみると面白いです。

写真のハギスは上の黒い部分が羊の内臓のミンチで、下の白っぽい部分がオーツ麦入りのマッシュポテトでした。ソースは3種類の中から選べて、王道のスコッチウイスキーソースにしました。

やはり内臓感が強く、あまり食べたことのないクセの種類でした。豚や鳥、魚の内臓は日本食で食べなれているはずなのに、下処理による臭みの違いなのか、食べなれていないだけなのか、羊の内臓は特に強烈なのか、色々考えますが食べ終わる頃まで答えは出ず。

イギリス人はみんな平気で食べるのかといったらそういうわけでもないようで、同僚にこの体験を話したところ、「あ~わたしもあれは食べられない。一回食べたらもういい。」と全く同じ感想で笑ったのを覚えています。

育った地域や好みの違い?こういう料理もあるんだな~と発見です。道中で見た可愛い羊たちのことを思い出すと、全く憎めないハギスなのでした。

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