管理栄養士のイギリス就活① 2~3年前から準備していたこと

A City in the UK
イギリス生活

夫の大学院留学、私はイギリスで就労経験がしたい

イギリス移住の約1年前に夫が晴れて大学からオファーを受け、大学院留学が決定。そのとき私たちは、インドで駐在生活を送っていました。

インド生活を経てイギリスでの1年間を2人で過ごすことは結婚前からの目標でした。それがいよいよ具体的になってきた!

私費留学のため、ビザ申請や家探しも自分たちで行う必要がありました。私の場合は、同時進行で就活をすることになります。イギリスの就活で最初に未経験者を悩ませるのが、CV(英語履歴書)やレファレンス(推薦書)2通などの準備です。

何事も早め早めが吉。私がイギリスの就活前になんとなくやっていたこと、そして結果としてキーポイントになったと思うことを紹介します。

CV(英語履歴書)の原本を作成しておく

就活でまず必要なのは履歴書。

英語で書く練習を早いうちから始めるのがおすすめです。

書くべき項目はだいたい決まっていますが、書式やデザインに決まった型はありません。言ってしまえば自分が書きやすいレイアウトやデザインで作成することができます。

ただ、職種によってレイアウトに傾向はあるように感じます。私も病院向けの管理栄養士や看護師のCVをネットで検索して参考にしました。

企業や組織だと画面上の専用フォームに入力してデータとして送信する場合も多いため、自分で作成したものをそのまま提出することはない場合もありますが、自分でまとめたものを1枚用意しておくと入力するときもスムーズです。

原本になるものをエクセルで1枚作ってしまえば、提出先に合わせて一部追加したり、変更したりするだけで長く活用することができます。

海外ボランティアの経験=レファレンス(推薦書)

欧米の就活で、非英語話者がネイティブと同じ土俵に立つには、 “英語を使って働いた経験”が何よりの強みになります。

当時のわたしの英語力(留学経験なし、職歴は日本の病院・企業のみ、TOEIC700点台)でこの強みを得るには、海外でボランティア活動を行うことでした。日本の就活では、海外ボランティア=大学生の夏休みの短期体験で、既卒が転職活動をする場合、職歴のメインの欄に書くことはできません。

しかし、欧米では、ボランティア活動もフルタイム(日本でいう正社員)に並ぶ経験として評価されます。なぜなら、ボランティアとして採用される場合も、書類審査→面接→採用→契約の手順を踏み、報酬や給与は発生しなくても団体の一員として仕事を任されるからです。

今振り返ると、公用語が英語であるインドでのボランティア経験が、イギリスでの就活を実らせた要(かなめ)だったと考えています。

とは言うものの、インドでのボランティア活動の最初の動機は、駐妻生活の中で何か自分のキャリアの肥やしになる経験をしたいと思ったことでした。このときはまだ、イギリスで働くなんて夢にも思っていなくて、後のイギリス生活では、現地の英語に触れて、会話力を伸ばせたらいいなくらいに思っていました。インドでのボランティア活動が、私の英語キャリアの最高到達地だと思っていました。

幸運なことに、子供の食育に取り組む現地のNGO団体と縁があり、食と栄養の知識を活かして2年弱の経験を積むことができました。絶賛コロナ禍だったため、すべてオンラインで活動しました。

今思うと私のひどい英語(最初の電話面接なんてほとんど聞き取れなかった)でも日本での経験を評価し、仕事を振ってくれた代表には感謝してもしきれません。

そんなある日、現地での活動に奮闘する私に夫が、欧米で考えられているボランティア経験の位置づけを教えてくれました。就活時には、ボランティアを含む前職の上司にレファレンス(推薦書)をお願いすることが常識だということも(この文化こそが、私のように日本での経験しかない場合は盲点かつ高い壁となるのです)。

このことを知った時、「もしかしたら、インドでの経験のおかげでイギリスで働ける条件揃っちゃってる!?働きたい!挑戦したい!!!」と思ったのが始まりでした。

このインド駐在で出会ったボランティア先の上司に、のちにイギリスの就活で必須となる「レファレンス(推薦書)2通」のうち1通を依頼することとなります。結果として、外国人就活生の強みになるであろう “英語を使った経験” の証明に繋がりました(レファレンスの詳細は、就活時の必要書類の記事で詳しく書く予定です)。

就労可能なビザはどれか把握する

就労資格がなければどんなに経験があってもイギリスで就職することはできません。

ビザの種類を把握して、どのビザなら取得可能かつ就労資格が得られるかも早めに調べておく必要があります。

まず私が目を付けたのはYMSビザ(Youth Mobility Scheme Visa)です。30歳以下が対象となり、年2回の抽選で当選すれば最大2年間の滞在資格および就労資格が得られます。しかし、抽選に外れたら私のイギリス行きはなくなるわけで、これは一か八かすぎる。

もっと確実に2人で行ける方法はないか…

そこで見つけたのは、夫の学生ビザ(Student Visa)に紐づいた扶養ビザ(Student Dependent Visa)です。一定の条件はありますが、正式に婚約関係を結んでいる妻(夫)で同居生活を送っていれば取得可能です。

イギリスの扶養ビザは基本的に制限なく就労可能(厳密には公的資金に関わる仕事は不可)。

これなら私でも働けるよね!

しかし、ビザルールは短いスパンで何度も変更されるため、常に最新の情報を把握する必要があります。

わたしたちが過ごした2023年の翌年からは、留学生は扶養ビザで家族を英国に連れてくることは不可になるという情報が発表され、騒然となりました。

目的は、移民を増やさないためです。卒業後に英国で仕事を見つけ、そのまま家族で永住を図ろうと考える留学生が多数いるからです。これには例外があり、職業が公務員で自国の制度を使って留学する場合は家族同伴可(なぜなら、この枠で来る留学生は卒業後に帰国することが最初から確約されているから)。

シビアな条件下で、ビザルールは常に見直されています。私が把握しているのは2023~2024年までの情報です。適宜、英国政府のホームページ(GOV.UK)で最新情報をチェックする必要があります。

日本語でも情報は得られますが、限界を感じる場合があります。

英語で情報をとれなきゃ、イギリスでなんか働けない!と自分に喝を入れ、頑張って英語で情報を集めていました。イギリス英語の予習にもなります。

どこで働くか目標を固める

おおまかな絞り込みはすでに出来ていました。なぜなら、管理栄養士の資格や経験を活かして働きたいの一心だったからです。

まずは、イギリスの管理栄養士について調べました。正規ルートは、イギリスの大学のカリキュラムを修了すること。私の場合、これはもう手遅れ(笑)

次に見つけたのは、日本の管理栄養士免許を適用すること。

これに相当する手段は、医療従事者ビザ(Health and Care Worker Visa)を取得することです。厳密には、日本の管理栄養士免許というよりは日本の大学の専門カリキュラムを修了している証明と医療現場での実務経験、英語力の証明で審査されます。

私に足りないのは英語力の証明でした。IELTS 7.0以上が必要になります。

日本の管理栄養士専攻を卒業し、日本の病院に就職しながらこのレベルの英語力を持っている人っているのかな…と途方に暮れました。

それなりに英語はやってきたつもりでしたが、この時の私の英語力はTOEIC Listening & Reading 795点、Speaking&Writing 130点でした。

IELTS 7.0以上を取る人のレベルは、まずTOEIC900点以上は当たり前。さらに日本の就活で扱われるTOEIC Listening & Readingだけでは測れない、スピーキングとライティングの高い技能も求められます。

また、IELTSの語彙はビジネス英語というよりはアカデミックに基づいており、リスニングの題材には、大学院生と教授の会話などがあり、海外の文化や大学のカリキュラムを理解していないと聞き取りが難しかったりします。

つまり、このルートも私には非適応(泣)

今のレベルで出来る最大限の形はなにーーーーーー?!!!

考え行き着いたのは、イギリスの病院で職種にこだわらずとにかく食に関わる仕事をすること。

管理栄養士の資格は直接的に使えなくても日本の病院での経験が、足りない英語力をカバーしてくれるはず!と閃きました。

運よく、夫の留学先は医療関連の教育や研究にも長けており、大学病院が併設されていました。これはここで働くしかない、とそう思い込んだら一直線です。

さっそく求人ページを確認し、見つけたのがフードサービスアシスタント(Food Service Assistant)の職種でした。

早すぎるくらいに動くことがカギ

ここまでが、渡英2~3年前から私がなんとなく動いて準備していたことです。

とにかく海外に関わる事務手続きは、本当にイレギュラーなことが起きやすかったり、気づいたときには時期的に手遅れだったり、後から軌道修正するにもかなりの労力や余分なコストがかかることがあります(笑)

完璧に調べつくして準備万端!と思っていても、ひとつやふたつ問題に直面するのが常です。年単位での準備が必要だと実感しています。

つらつら書き綴ってみましたが、海外での活躍や経験を目指す方の参考に少しでもなれたら幸いです。

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