どのミルクが環境と健康に最適?牛乳・豆乳・アーモンドミルク・オーツミルクを比較!

牛乳・豆乳・オーツ・アーモンドミルクを徹底比較!
食と健康の情報

牛乳と植物性ミルク

みなさんは、牛乳以外の植物性ミルクを飲んだことはありますか?

植物性ミルクとは、豆やナッツ、穀類など植物性の食品から作られる飲料のことです。

日本のスーパーで扱っているのは、豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクが挙げられます。

植物性ミルクが出回る背景のひとつに、環境保全があります。

今回は、環境と健康の2つの視点から牛乳と植物性ミルクについて比較してみましょう。

各ミルクの特徴と消費状況

牛乳

牛乳は、ビタミンDやカルシウムを豊富に含んでいます。他にもたんぱく質、脂質、炭水化物などの「5大栄養素」を含みます。

世界の牛乳消費量は年々減少傾向にありますが、他国と比べて日本の摂取量は少ないです。

世界の飲用乳の一人当たりの消費量
出典:JIDF(国際酪農連盟日本国内委員会)
「世界の酪農情況」2022 ※元データをもとにグラフ作成

牛乳の消費量が減っている理由として、国の調査によると、

多くの国で「味が好きではないから」「健康・安全面などの理由」の割合が高かった。また「環境への負荷が大きいと思うから」に注目すると、多くの国で1~2割となった。

引用:各国における乳製品代替食品の消費動向 | ALIC(農畜産業振興機構)

現時点で環境保全の意識による影響はそれほど大きくありません。

また、動物愛護の観点に着目してみると、

「動物がかわいそうだと思うから」に注目すると、ドイツや米国の割合が2割超と高かった。

特定の国では比較的高い傾向にありますが、日本を含むほとんどの国で動物愛護も牛乳の消費量にそれほど影響していません。

豆乳

豆乳は、大豆たんぱくとイソフラボンを多く含んでおり、大豆由来の水溶性食物繊維やオリゴ糖を含んでいることが特徴です(イソフラボンは、豆乳にする過程である程度減少します)。

世界でも豆乳は、牛乳の代替ミルクとして他の植物性ミルクよりもよく飲まれています。

豆乳を飲んだことがある人の割合のグラフ
出典:ALIC(農畜産業振興機構)
「各国における乳製品代替食品の消費動向」
※元データをもとにグラフ作成

豆乳は、牛乳と異なり欧米よりもアジアで消費が多い傾向にあります。

特に中国は、世界でも上位の豆乳消費国であり、牛乳と真逆の状況です。

アーモンドミルク

アーモンドミルクは、ビタミンEや食物繊維が豊富で、他のミルクと比べて低カロリー、低糖質、低脂質なのが特徴です。

アーモンドを水に浸して撹拌し絞って作ります。ミキサーがあれば自宅でも作ることができます。

アーモンドミルクを飲んだことがある人の割合のグラフ
出典:ALIC(農畜産業振興機構)
「各国における乳製品代替食品の消費動向」
※元データをもとにグラフ作成

アーモンドミルクの消費状況は、アメリカやドイツの割合が高いです。市場では、環境保全や動物愛護、乳糖不耐症などの観点から今後も需要が増えると考えられています。

日本での摂取状況は他国と比べて低めです。牛乳や豆乳のほうがよく飲まれています。

オーツミルク

オーツミルクは、オーツ麦(オート麦)から作られます。

オーツミルクは健康的な食物繊維のβグルカンが豊富で、他の植物性ミルクと比べると自然に含まれる炭水化物も多く、牛乳以上の製品もあります。

アメリカや欧州を中心に需要を高めており、菜食主義者や乳糖不耐症の消費者に選ばれる傾向にあります。

2022年の調査によると、日本人のオーツミルクの一人当たりの年間消費量は1.28㎏と報告されています。

出典:JIDF(国際酪農連盟日本国内委員会)
Mordor Intelligence Research Company「オートミルク市場のシェアと規模分析」2022
※元データをもとにグラフ作成

牛乳の31.4㎏と比較すると、オーツミルクの日本での消費状況はまだ低い傾向にあります。

各ミルクの栄養量の比較

三大栄養素

100mlあたりカロリー
kcal
たんぱく質
g
脂質
g
炭水化物
g
食物繊維
g
普通牛乳613.33.84.80
豆乳(無調整)433.62.82.30.9
アーモンドミルク200.51.52.01.5
オーツミルク360.31.16.81.2

※普通牛乳、豆乳:日本食品成分表2020年版(八訂)
※アーモンドミルク:アーモンド効果<砂糖不使用> グリコ
※オーツミルク:たっぷり食物繊維オーツミルク 砂糖不使用 アルプロ

牛乳は、三大栄養素をバランスよく含みますが、食物繊維は含まれていません。

豆乳(無調整)は、たんぱく質が牛乳よりも多く、脂質と炭水化物は牛乳よりは低いですが、比較的バランスよく含まれています。

アーモンドミルクは、最も低カロリーで、たんぱく質や脂質も少ないです。炭水化物のほとんどを食物繊維が占めるため糖質も少ないです。

オーツミルクは、たんぱく質や脂質が少ないです。炭水化物が牛乳よりも多く、食物繊維を差し引いても糖質が多いです。

ビタミン・ミネラル

100mlあたりビタミンD
μg
ビタミンB2
mg
ビタミンE
mg
カルシウム
mg
鉄分
mg
普通牛乳0.30.150.11100.02
豆乳(無調整)00.020.1151.2
アーモンドミルク530
オーツミルク0.750.211140.48
※普通牛乳、豆乳:日本食品成分表2020年版(八訂)
※アーモンドミルク:アーモンド効果<砂糖不使用> グリコ
※オーツミルク:たっぷり食物繊維オーツミルク 砂糖不使用 アルプロ
※表内「ー」は公式ホームページに数値の記載なし

ほとんどの植物性ミルクはビタミン・ミネラルを自然な状態で含みません。栄養強化目的に添加されており、栄養量が製品によって異なることもあります。

牛乳は自然な状態でカルシウムを多く含むことが特徴で、動物性カルシウムのため人間の身体と相性がよく吸収されやすいです。

豆乳は自然な状態でも鉄分を比較的多く含みます。

アーモンドミルクは自然な状態でもビタミンEを多く含みますが、その他のビタミン・ミネラルをどのくらい含むかは比較した製品からは不明です。

オーツミルクは、比較した製品の場合、ビタミンEを除く栄養素はすべて添加され、牛乳以上に強化されています。

各ミルクの価格の比較

消費量(購買意向)は価格にも影響されます。1Lあたりの各ミルクの価格を比較してみました。

普通牛乳254円
豆乳(無調整)243円
アーモンドミルク428円
オーツミルク438円
※牛乳・豆乳:小売物価統計調査による価格推移(2025年4月全国平均)
※アーモンドミルク:アーモンド効果<砂糖不使用>(2025年5月26日楽天市場最安値)
※オーツミルク:たっぷり食物繊維オーツミルク 砂糖不使用(2025年5月26日楽天市場最安値)

豆乳が最も価格が低く、オーツミルクが最も価格が高いです。

ただ、牛乳はメーカーやブランドの種類が豊富なため、価格帯に幅があると考えられます。

各ミルクの環境への影響

生産に必要な土地

TED‐Edの「Which type of milk is best for you?」によると、グラス1杯の牛乳を生産するには、4平方キロメートルの土地が必要であり、森林破壊と生息地の破壊を伴います。

土地のほとんどは牛の飼育場として使われ、あとは牛のエサを育てるために使われます。

牛のエサは、たいてい大豆やオーツ麦です。

植物性ミルクとなるオーツ麦や大豆の栽培のための土地は、牛のエサのための土地より小さくて済みます。グラス1杯のミルクあたり約1平方キロメートルしか必要としません。

豆乳の減量となる大豆生産は森林破壊をして土地を確保しますが、オーツ麦やアーモンドは異なり環境保護にはよい面があります。

生産に必要な資源(水)

どのミルクの生産にもあらゆる段階で水が必要ですが、農耕地で大きな差が出ます。

牛乳は4種類の乳製品の中で最も水を使い、グラス1杯の牛乳あたり120Lの水を要します。牛の飲み水やエサを育てる際の水やりなどに使用されます。

2番目に水を多く必要とするのがアーモンドミルクで、グラス1杯のミルクあたり70Lの水を要します。

ほとんどの水はアーモンドの木を育てる過程で必要とされます。アーモンドが実るまで何年も水やりが必要で、途切れなく水を与えないと木が死んでしまいます。

豆乳とオーツミルクは最も少ない水を要し、グラス1杯のミルクあたり5-10Lです。

生産による環境汚染(気候汚染)

どのミルクの生産にも温室効果ガスの排出が伴います。

温暖化の影響として牛のメタンガスが大きく取り上げられていますが、植物性ミルクの生産の過程でも発生します。

植物性ミルクの材料の収穫にはグラス1杯のミルクあたり1-2㎏の排気ガスが出されます。

牛乳の場合、牛の便やおならなどのメタンガスの排出のみならグラス1杯の牛乳あたり500gですが、飼料分を加えると、最も多くの温室効果ガスを排出します。

どのミルクが環境と健康に最適?

環境保全や乳糖不耐症への適正を考えると、植物性ミルクが優勢でしょう。

しかし、ナッツアレルギーにはアーモンドミルクは不適です。また、セリアック病(小麦や大麦、ライ麦に含まれるたんぱく質のグルテンに対する遺伝性の不耐症)にはオーツミルクは不適です。

また、食品へのアクセスに価格の影響は無視できません。

貧困や文化などの社会的背景から植物性ミルクのアクセスが困難な人にとっては、牛乳や豆乳が栄養摂取に最も適していると考えます。

また、ダイエットや体重コントロールにはアーモンドミルクの活用が効果的です。一方、育ち盛りの子供や低栄養の人には、牛乳の栄養成分が最もバランスがよいでしょう。

まとめ

日本国内の現状で総合的に評価すると以下のようになります。

栄養価環境へのやさしさ価格消費量(購買意向)
普通牛乳バランスがよい環境負荷が大きいやや安い最も多い
豆乳比較的バランスがよい持続可能性が高い最も安いやや多い
アーモンドミルク全体的に低い水を多く必要とするやや高い少ない
オーツミルクたんぱく質や脂質が低い持続可能性が高い最も高い少ない

牛乳、豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクを栄養価と環境へのやさしさの観点から比較すると、豆乳が最も最適といえるでしょう。

ただ、豆乳はカルシウムが少ないことが懸念点であり、他の食品で補う必要があります。

アーモンドミルクやオーツミルクの栄養価は今後の企業努力で高まる余地があります。

価格や消費量(購買意向)まで考慮すると、牛乳か豆乳となりますが、牛乳の環境負荷は無視できないものがあります。

消費者として何を優先して選ぶのか、個人で考えるきっかけになれば幸いです。

Chie

管理栄養士。急性期病院で6年間の経験を積んだ後、インドの食育関連NGO、イギリスの大学病院で働く。栄養学に基づいた健康レシピの他、海外で学んだ食文化、移住経験を発信中!

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Comments

  1. Chie Chie より:

    スーパーから牛乳がなくなったらどのミルクを選びますが?

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