時間栄養学とは
何をどれだけ食べるかと同じように、いつどのように食べるかに着目したのが時間栄養学です。2012~2015年に様々な研究結果が注目されました。消化や吸収、代謝は体内リズムと密接に関わっています。仕事や生活に身体を合わせがちな現代社会ですが、少し立ち止まって、身体本来のリズムに合った生活習慣を考えてみましょう。
4~6時間おきに食事をする
臨床代謝研究の報告が掲載されているアメリカの雑誌Cell Metabolismの掲載記事によると、“決まりなく好きな時間に食事をしたマウスは肥満や代謝性の疾患を発症した一方、9時間または12時間以内に食事をしたマウスは健康なまま”¹でした。
人でも同様の効果が期待できることが報告されています。長すぎる絶食時間はその後の食事が急速かつ過剰に吸収されてしまうことが懸念されますが、夕食を食べてから翌朝までに12~15時間の食べない時間をつくることは健康に有益ということになります。
私はいつも1日3食を推奨していますが、様々な患者さまとお話をする中で、9~12時間以内つまり3~4時間おきの食事はフルタイムで働いている人には少し厳しいように感じます(^^;) 時間内に収めようとすると1日2食になりがちです。
そこで、少しゆるめて、4~6時間おき(12~14時間以内)に食事をとるのはいかがでしょうか。
朝食を8時に食べるとすると、昼食は12~14時、夕食は18~20時となります。帰宅が20時以降の人は、夕方に炭水化物(おにぎりやサンドイッチ)を食べ、帰宅後に油をあまり使っていない主菜(肉や魚など)と副菜(野菜やきのこ、海藻など)を食べる”分食”もありです。
この考えのよいところは、不規則になりがちな交代勤務の人も活用できる点です。起床から24時間を1日とし、時間枠を設けると、食事がなんとなく規則的なサイクルになりませんか?
また、食事を早く済ませる、つまり寝る時間までに消化が終わっているということ。内臓も休息に入り身体も頭も本来の睡眠が可能となります。なんともいいこと尽くしです。興味がある方はぜひ試して変化を感じてみてください。
1日3食こそ胃腸が活きる?
朝食を食べないほうが調子がよい、お昼に好きなものをたっぷり食べて夕食は抜くなど、多かれ少なかれ誰にでも独自のスタイルがあると思います。
時間栄養学を提唱している加藤先生によると、“食物の消化吸収は食事の質や量によって影響を受けるだけでなく、日常の食習慣によって消化酵素の分泌リズムが形成され、食事時刻を予知して胃腸の働きが活発になります²”。
つまり、規則正しく1日3食がよいというのは、消化や吸収、代謝を担う消化酵素やホルモンを正常に働かせるという意があります。そのリズムが崩れると、血中の糖質や中性脂肪の量がおかしくなってくるというわけです。
食べる時間と効果の違い
“同じ栄養物を摂取しても消化吸収や生体内の利用効率は生活時間帯によって異なる”²と考えられています。
たとえば、“筋肉をつける目的で、夕食に積極的に肉をとる人がいますが、夕食にだけ大量のたんぱく質をとっても効果がないとの研究結果があります。夕食と同等に朝もしっかりたんぱく質をとるとよいでしょう。また、筋肉を意識する場合は朝食時に、骨を意識する場合は夕食時に、乳製品や大豆製品をとると効果的”³という報告もあります。
1) Reynolds G. A 12-Hour Window for a Healthy Weight – The New York Times (nytimes.com). January 15, 2015. Retrieved December 21, 2021
2) 加藤秀夫 (2015). 時間栄養学から食育を科学する(総説)13
3) 公益社団日本栄養士会 (2017). 健康増進のしおり:1日3食「いつ」食べる?「どう」食べる?
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Let’s review your current eating habit.