時間栄養学とは?
時間栄養学とは、体内時計の働きに基づいて「いつ」「どのように」食べるかに着目した学問です。
身体の消化、吸収、代謝のはたらきは、体内時計に合わせて行われています。
BBC(イギリスの国営メディア)によると、体内の時間を刻むメカニズムが狂うと、生活習慣病のリスクだけでなく、メンタルの不調の原因になります。
つまり、個人に合った本来の体内時計に合わせた食生活を送ることが、体調を整えるカギとなります。
体内時計と食事の関連
体内時計とは、人間をはじめとする生物が持っている生理的なリズム(概日リズム、サーカディアンリズム)をコントロールする仕組みのことです。
生物は地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っています。
体内時計 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
起床時は朝日を浴びる、就寝時は暗くするなど地球の日内変化に合わせた習慣が生理的です。
また、各臓器にある副時計(肝臓・腸・膵臓など)は「食事の時間」でリセットされます。
つまり、食べる時間がバラバラだと、副時計が乱れて代謝(人間に必要なエネルギーを生み出す一連の流れ)に悪影響が出ます。
朝食・昼食・夕食のベストタイミング

朝食で体内時計をリセット
起床時に朝日を浴び、朝食を摂ることで主時計(地球の24時間周期)と副時計(臓器などのホルモン分泌)をカチッとリセットさせます。
ある研究では、朝食を抜くことは体重増加や肥満と関連する可能性が示唆されています。また、1.75倍も肥満になりやすいとの調査結果も報告されています
1日の食事内容や量の調整だけではなく、「いつ食べるか」が適切な代謝の維持に重要です。
昼食はなるべく毎日同じ時間帯に
調整がつく場合は、昼食はなるべく同じ時間帯に摂り、日間変動を作らないことがおすすめです。
昼食時間がいつもより早すぎると、夕食までにお腹が空いて間食が増える可能性があります。
逆に、昼食が遅いといつもの夕食時間にお腹が空かず、夕食が後ろにずれて睡眠に影響する場合があります。
ただ、昼食を早めにとることでより多くの体重を減らすとの研究報告もあります。
昼食が14時から15時になるよりは、12時から13時に食べるほうがよいです。
夕食は、朝食から12~14時間以内に

ある研究では、肥満の被験者で1日14時間以上の間に食べていた人を、10~11時間の間だけ食べるように16週間コントロールしたところ、体重減少と睡眠改善が見られました。
10~11時間以内に食べることが理想かもしれませんが、理想と現実にはギャップがあります。

通勤時間が長いために出勤時間が早い人を例にしてみましょう。出勤前の朝6時に自宅で朝食を摂った場合、16時に夕食を済ませなければならない計算になります。
3食すべてを出勤後や帰宅前に済ませるなら10~11時時間以内も可能かもしれませんが、家族との食事時間は大切にしたいものです。
「遅くても14時間以内に」と考えたらぐっと調整しやすくなりませんか?
なんでも継続することが長期的な効果となるため、現実的なゆるさは設けてもよいと考えます◎
なぜ夕食は20時までがよいのか?

人間の身体には、「昼は活動、夜は休息」に合わせて働く体内時計があります。
一般的に夜遅い時間帯は代謝能力が低下すると考えられており、インスリン感受性や消化酵素の働きが弱まります。
そのため同じ内容の食事でも、夜遅く食べた場合、「脂肪として蓄積されやすい」と言えます。
海外の専門家の見解は、夕食は18時まで、20時半までなどやや幅があります。
また、睡眠の質の維持やインスリン感受性への影響を考慮すると、就寝2時間前までに夕食を済ませることが望ましいです。
これらの観点や仕事からの帰宅時間を考慮し、夕食は20時までに調整するのが妥当でしょう。
忙しい人向けの現実的な工夫
朝が早く朝食を食べる時間がない
朝食摂取の目的は、胃腸を動かし、消化液やホルモンの分泌を促すことにあります。
しっかり量が食べられなくても、ある程度のカロリーがあり消化を要するものならOKです。
時間がない場合は、トマトジュース、チーズひとかけら、バナナ1本だけでも十分です。
食べない習慣から、何かを口にする習慣に変えられるとGOODです。
残業で帰宅が遅い
残業で夕食時間がいつも遅くなってしまう場合、分食が有効です。
具体的には、16~18時頃にサンドイッチやおにぎりなどの炭水化物を摂取し、帰宅後にたんぱく源や野菜中心のおかずを摂取します。
炭水化物は抜くのではなく、早い時間に食べて、遅い時間には比較的消化がよく血糖値を上げにくい食品中心に食べるのが効果的です。

帰宅後のおかずは、揚げ物など高脂質の種類を控えることもポイントです。
交代勤務で時間が不規則
交代勤務で睡眠と食事のサイクルが常に変化する場合や早出・遅出が混ぜるシフト勤務などの場合、どうしても生活リズムが不規則になりがちですよね。
「○時に夕食」と毎日決まった時間が決められない場合でも時間栄養学は適応できます。
その日の1食目から「4~5時間おきに1日3食摂取する」方法です。
この時間間隔で食事と摂ると、おおむね12~14時間以内に全ての食事を摂ることができます。
勤務の都合上、間に仮眠が入ってくるなど調整が難しい場合もあるかもしれませんが、
まずは、可能な日から少しずつ実践してみることが大切です。
まとめと実践ポイント
時間栄養学に基づき体内時計を整える食習慣をご紹介しました!
- 朝食はなるべく毎日食べる
- 夕食は朝食から12~14時間以内に
- 分食や一定の食事間隔を設けるなど自分の生活スタイルに合わせる
極端な方法ではなく、継続することを最優先に計画を組むことが健康維持のカギです。
できそうなことから少しずつ取り入れてみてください(^^)
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Let’s review your current eating habit.