前回までの記事では、渡航前に行った準備についてお話しました。
渡航後は、なんとか家探しと契約まで完了し、家を整えながらいよいよ応募書類の準備です。
基本的に私はIndeedで求人を随時チェックしていましたが、本命の応募先は病院名を先に知る形だったので直接、病院のホームページから求人ページに飛んで応募しました。
今回は、応募書類作成の一連の流れを説明します。
かなり長めの記事になっているので、目次から気になる項目に飛んで参考にしていただけると幸いです!
オンラインで応募専用フォームに入力
イギリスの病院はNHS(National Health Service: イギリスの国民保険サービス)で運営されており、応募システムは病院や職種に関係なく統一されています。
また、大きな企業や団体に限らず組織で運営している飲食チェーン店なども、紙媒体のやりとりではなく、応募申請はオンラインの専用フォームで作成した書類をWeb上で提出し、書類選考の結果はメールで知らされるのが一般的な流れのように感じました。
病院(NHS)も同様のため、数日間かけてフォームに入力していきます(一時保存や、提出前ならいつでも修正が可能なため、締め切りに合わせながら自分のペースで進めることができます)。
今回は、NHSの応募申請フォームの項目順で説明するため多少の違いはあると思いますが、おおまかな雛形として参考になると思います。
項目別にまとめているため長めの記事になっていますが、目次から気になる項目に飛んで参考にしていただけると幸いです。
Personal Details(個人情報)
まず最初のセクションは、Personal Details(個人情報)の入力です。
・住所
・連絡先
・UK National
・犯罪歴有無の自己申告
・関係者からの紹介の有無
・Immigration Status(ビザの種類)
Application Questions(応募質問)
次のセクションでは、主に学歴や経歴を入力します。
Education & professional qualifications(学歴と専門資格)
学歴と専門資格の項目には、日本や海外で取得した学位や募集要項で求められている必須資格を記入します。
数ではなく適正を見られるため、なるべく応募職種に関連するもの中心で、特に資格に関しては関連性に乏しいものは記入しないのがよいです(その時点で読んでくれなくなる可能性も)。
たとえば私の場合なら、
→募集要項の必須資格(渡航前にオンライン受講で取得済み)
・Bachelor of Arts in Dietitian Studies
→最終学歴は管理栄養士専攻のため職種と適合しているアピールにも◎

渡航前に大学などで英文の成績証明書を発行しておくと入力や提示がスムーズです。
Relevant Training Courses Attended(関連するトレーニングの受講状況)
次の項目では、必須のトレーニングコースの受講状況について入力します。私の場合は、Food Hygiene Certificate Level 2がこれに当たるため、
Membership of Professional Bodies(専門団体への所属)
次の項目では、イギリスの専門機関が認定する専門の資格を持っているか問われます。
管理栄養士や看護師など専門職のポジションの場合は、必須で入力する項目です。ここに入力する外国人はたいてい医療従事者ビザ(Health Care Worker Visa)で入国しているはずです。
もちろん日本の管理栄養士の資格は適応とならず、イギリスの専門機関で書類審査を経て認定された資格に限ります。
プロフェッショナルな認定資格が不要なポジションなら、
非該当であることを記せばOKです。
Employer/activity history(職歴・経歴)
次の項目は職歴です。日本と異なる部分は、新しい順に記載していくことです。
入力項目は、
・Employer address(所在地)
・Type of business(業種)
・Reporting to(直属の上司/報告先)
・Telephone(電話番号)
・Your job title(役職)
・Start date/End date(入職日・退職日)
・Grade(職位等級・ランク)
・Salary(給与)
・Period of notice(退職通知期間)
・Reason for leaving (if applicable) (退職理由)
・Brief description of your duties & responsibilities(職務内容の要約)

例えば、腎臓病専門管理栄養士など認定資格を用いてより専門的かつ高度な仕事を任されるポジションはBand 7、私が応募したフードサービスアシスタント(患者への給食サービス業務)はBand 2であり、その差は歴然です。
Gaps in employment(無職期間)
職歴に無職の期間がある場合、その理由の記載が求められます。
Supporting information(志望動機・自己PR)
次は、志望動機・自己PRです。
ここでは英語ライティングのスキルはもちろん、人物像や適性が測られます。選考材料の大きな割合を占めると重要項目ですね。
日本の履歴書と異なる部分は、エッセイ形式が求められている場合、一般的に800~1000単語のボリュームで書くことです。
何もないところから800単語以上の文章を、しかも英語で書き出すのはけっこうな労力です。
文章構成を決めて800単語以上
参考までに私のSupporting informationの構成は、
・簡潔なこれまでの歩みと応募に至る経緯
Main body
・自分の経験や能力が求められている職務とマッチしていること
・求められているスキルや能力の理解度
・実際の現場の想定される状況下でどのように動いてチームに貢献できるかのイメージ
Conclusion
・応募への熱意

スピーキング力の懸念についても正直に、なるべくポジティブな表現でちゃっかり盛り込んでみました(笑)
ネイティブ添削で文法の誤りを正す
自分の出せる最大限を駆使して書き切ったら、ネイティブ添削を依頼するのもひとつです。
知り合いや家族にネイティブまたは同等の英語力を持つ人がいればよいのですが、
そうでないときに頼れるのがWORDVICE(ワードバイス)です。
(サービス選択)英文校正サービス
(文書タイプ)願書・履歴書構成
(単語数)800
上記のように入力すると仕上がり時間(所要時間)ごとの見積もりが表示されます。

私は72時間以内 10,560円で依頼しました。
また、アメリカ英語とイギリス英語の希望も出せたので、イギリス英語を選択。
結果として2日ほどで添削物が返されたので、とてもスピーディーだと感じました。
あくまでも英文法に基づいた誤字・脱字、表現の誤りの直しだけと思いきや、
「ここの文章がやや抽象的なため具体例を入れるとよい。」
「詳細に書かれていて説得力のある文章だと思う。」
などのアドバイスや意見までもらうことができました。
一度、ネイティブ目を通すことで自信を持って提出できること、また、添削の丁寧さを考えると高額とは思いませんでした。
References(推薦書)
次のセクションは、後に応募者を悩ませることが多々あるReference(推薦書)です。
NHSでは過去3年間の雇用主からのレファレンスが求められます。
過去3年間のうちに雇用関係にあり、かつリファレンスの依頼が可能な職場の情報をできるだけ多く共有するよう指示されていました。
2ヵ所からのレファレンスを求められることが一般的だと把握していたのですが、応募フォームに具体的な数の指定はされていませんでした。

ひとまず依頼しやすいインドのボランティア先の上司に許可をとり、情報を入力しました。
・Referee’s organisation name(推薦人の所属先)
・Job title(推薦人の役職)
・How do they know you?(当時の自分の役職)
・Address(職場の住所)
・Mobile no.(推薦人の携帯電話番号)
・Email address(推薦人のメールアドレス)
・Can the referee be approached prior to the interview?(面接前に推薦人と接触してもよいか?)
・Period this reference covers(この推薦書が適用となる雇用期間)
情報共有の際の留意点が2つあります。
個人アドレスは認められない
まず推薦人のメールアドレスですが、Professional Email Adressのみ適応であり、個人アドレスは認められません。
どういうことかというと、企業や組織に所属し法人のメールアドレス(@企業名.comなど)を持っている人でないと推薦人として認められません。
応募先は、個人アドレス(gmailやyahooなどのフリーアドレス)には接触しないスタンスです。

日本にはない文化であり、割と厳しく条件付けされていますね。
つまり引退後やフリーランスの形態で活動していたり、職員にメールアドレスを付与しない組織に属している推薦人は適応外となる場合があります。
応募先が推薦人に接触しても英語で対応可能か?
日本人からするとここが一番の懸念点かと考えます。
推薦人の国籍や所属先の所在地は問われないため、日本国内の以前の勤め先に依頼することも可能ですが、外資系やグローバルな組織でない限り、
依頼されてもレファレンス文化が理解されにくいことと、英語での対応が困難な場合が考えられます。
レファレンス文化の流れは、書類選考通過後に応募先が直接、推薦人の携帯電話番号またはメールアドレスからコンタクトを取り、当時の仕事ぶりや人物像を確認します。
自分とは別のところでやりとりが行われるため、推薦人がこの文化に慣れていない場合、大きな負担になってしまう可能性があります。
また、良好な関係で退職していないとそもそも依頼しにくいのと、退職後も何らかの繋がりを持っている人のほうが依頼も受け入れられやすいでしょう。
事前にこの文化を知っていれば早めの根回しも可能ですが、そもそも依頼できる繋がりを持っていない、なんてことも起こり得るわけです。
早めの取り掛かりと根回しがカギ
結論として、時間を要するために早めの行動が望ましいのは、
・Supporting information(志望動機・自己アピール)の作成
・Referee(推薦人)の選択と事前連絡
Comments